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2022/10/04 11:54

ハピヒル9年目突入、今後の展望についてインタビューを受けました。

―山田さんがHAPPY HILLをオープンされて、9年目になりました。当初はどんなお店にしたいと思われていましたか。

2014年、「おいしいものでHAPPYを増やしたい」「生産者の顔が見える場所を作りたい」という思いで開業しました。人の紹介や民泊などで知り合った生産者さんが作る本当においしいと思える食材を使い、こだわりの料理とドリンクを提供して、居心地のよさや感動、喜びを感じてもらえたらいいなと。いよいよ自分の店を構えるワクワク感の反面、お客さまが来てくれるかなと怖かった当時の気持ちは今でも鮮明に覚えています。

―オープンから8年半が経ち、今はどんな状況ですか。

おかげさまでたくさんのご縁に恵まれて、お店を続けることができました。ただ、一時期はホテルに移転して毎日忙しくなってしまったので、生産者さんのところに行く余裕がなくなり、加えてコロナ禍で売上が激減してすごく苦しかったことも…。2021年春、ここ今泉で理想の物件に出会い、ようやくコロナ禍を抜ける兆しが見えてきた今、将来を見据えて頑張っていこうと決意を新たにしたところです。

―改めて、HAPPY HILLとして大切にしていきたいことを聞かせてください。

大きく4つあります。まずはオープンから一貫して、「生産者さんとお客さまをつなげる存在になること」。どんな人がどんな場所でどんな思いで作った食材なのかが分かると、安心して口にできるし、料理がもっとおいしく感じられると思うんです。例えば、僕が始めて食べたとき、味わいに感動した平戸のジャガイモは、切ったら水しぶきがあがる。そのジャガイモで丁寧に作ったフライドポテトは、最高においしい。そんな生産者さんや食材の情報は、食べる幸せが高まるスパイスになるでしょう。

コロナ禍が落ち着いたらスタッフたちと生産者さんを訪ね歩き、これまでのご縁を大切にしながら、新たなつながりも作っていきたい。また、お客さまからも様々なご縁ができ、どんどん面白い展開が生まれそうです。

―生産者さんとの出会いから、店が作られていくのですね。

その通りです。2つ目は「食を通じて、人の身体と心を元気にすること」です。「食」という字は、「人」を「良」くすると書きますよね。実は、こんなことがありました。

大常連のお客さまがガンを患い、1年半ほど治療されていました。食べることが大好きな方なのに、放射線治療中はきつくて口から何も食べられず、みるみるやせ細っていかれて…。そんな中、奥さまが「何か食べさせてあげられないかな」と相談してくださって、僕の料理を持って行ってくださったんです。そしたら「抗がん剤や放射線治療で食欲が急激に落ちたとき、HAPPY HILLの食事は食べることができた。ただおいしいだけでなく、優しさを感じる料理だった」と仰っていただけたんです。作り手として、本当にうれしい経験でした。

そのお客さまは、今はほぼ寛解で元気になられ、またお店に通ってくださっています。

―HAPPY HILLはおしゃれな雰囲気なので若いお客さんが多いイメージでしたが、年上の方もいらっしゃるのですか。

はい、もちろん若者にもご来店いただきますが、常連さんは40代以上の方が多いかもしれません。洋食の中にお出汁など和のエッセンスも盛り込んでいるので、幅広い年齢層の方に受け入れてもらえるのかなと思います。

―きちんと調理されていることが伝わっているのですね。

ありがとうございます。次に大切にしているのは「幸せや感動をお届けすること」です。食事は私たちの身近にあり、手を抜かずにおいしいものを出せば、きっと幸せを感じてもらえる。おいしいものは、幸せを増やすことにつながると信じています。

HAPPY HILLは誰かにとって特別な場所になれるといいなと思っています。コロナ前は、ウエディングの二次会やバースデーなどのお祝いごと、歓送迎会などで利用してくださるお客さまがたくさんいらっしゃいました。お祝いしてもらった場所って、印象に残りますよね。僕らはサプライズが大好きで、サプライズプレートは無料で書いています。プレートを頼まれたら、普段の呼び方で名前を書くのが僕らのこだわり。例えば、いつも「山さん」と呼ばれているのに、プレートでは「山田さん」になっていたら距離を感じますよね。料理やサプライズによって、お客さまが喜んでくださる姿を目の前で見られることが、何にも代えられない喜びです。

―最後の1つは何でしょうか。

「スタッフが働き続けられる環境を整えること」です。飲食業はこんなに素敵な仕事なのに、離職率や離婚率が高いんです。夜まで働くとなると、女性は育児と両立することが難しく、男性も育児や家事になかなか関われない。そこで、うちの会社では産休はもちろん、男女ともに育休の取得を推進して、介護休暇も取れるようするつもりです。飲食業が好きな人たちと一緒に、やりがいを持って楽しく働き続けられる店づくりにチャレンジしていきます。

僕らが心からの笑顔で店に立っていることがお客さまの笑顔につながるし、お客さまの笑顔が僕らの笑顔につながる。そんないいサイクルを回していくためにも、料理や接客はもちろん、スタッフの働き方や給与などの待遇も常に改善していくことが経営者の責任だと感じています。

―やりがいのあるチャレンジですね。

小さな幸せを増やしていくためには、もちろんHAPPY HILL自体を継続していくことが重要です。オープン1年目に結婚式の二次会をしてくれた夫婦が、それから毎年記念日に来店してくださいます。お子さんが生まれて、家族が増えていく様子を見られることは本当にうれしい。オープンから9年目になり、たくさんのご縁がつながり、いろいろな方の思い出がつまっているこの店を、さらによりよい場にしていきます。